蜂の子の基礎知識

古くから「おやつ」にされてきた、アシナガバチの蜂の子

アシナガバチは肉食のスズメバチの仲間で、日本では全国に分布しています。
比較的身近な場所でよく見かけるスズメバチで、市街地にも生息しています。

アシナガバチは家の軒下など人間の住まいに巣をつくることが多いため、人に対して警戒心が働きにくく、人の動きに対しても反応しにくいため「大人しい蜂」だといわれることがあります。

アシナガバチは全国の身近な場所に分布し、スズメバチの中では比較的大人しいことからアシナガバチの蜂の子はよく食べられています。大正時代には全国的に食べる習慣があったようです。

アシナガバチは「おやつ」に利用されてきた

アシナガバチは他のスズメバチのように何段も巣段を積み重ねた大きな巣はつくらず、蓮の花のような形の小さな巣をつくります。
そのため中で育つ蜂の子自体も数が少なく、食用とするには量が少ないことから、アシナガバチの蜂の子は昔からおやつとして利用されることが多かったようです。

中部地方ではつまんでおやつに

古くから貴重なタンパク質源として、蜂を食用にしてきた地域といえば中部地方です。
この地域では蜂の子の数が少ないアシナガバチのような蜂はあえて調理せず、そのまま巣からとりだし甘味を楽しむおやつとして食べていたそうです。

また岐阜県の飛騨地方にある一部地域では、アシナガバチの蜂の子を柿の葉に包み、いろりの灰の中で蒸し焼きにして食べることもあったようです。
炒って食べたり、塩コショウで味をつけてバターで炒めたりするのもおいしいといわれています。

蜂の巣は大型動物の貴重なタンパク質源

蜂の子を食べる」というと、人によっては奇妙な食性に見えることがあるかもしれませんが、蜂の子を食用にしているのは人間だけではありません。
ぎっしりと幼虫や蛹が詰まった蜂の巣は大型動物にとっても貴重なタンパク質源で、哺乳動物ならキツネ、鳥類ならカラスなどからよく狙われます。

スズメバチが時に非常に危険だと言われるのは攻撃性が高いからで、この攻撃性は幼虫やさなぎを狙う大型動物から巣を守るために発展してきたと考えられています。
つまりスズメバチが大型動物を攻撃する能力が高いのは、それだけ大型動物から巣を狙われやすいためで、大型動物にとってスズメバチの巣はとても魅力が高い食べものなのです。

アシナガバチの巣全体の蜂の数は7~8月にピークを迎える

地蜂であるクロスズメバチは秋が旬ですが、アシナガバチの巣は7~8月の盛夏に蜂の数がピークを迎えます。
盛夏をすぎると、幼虫や蛹を育てていた巣の中は徐々に空になっていきます。
そのためアシナガバチの蜂の子を採集するなら、ピークを迎える真夏が最適です。

アシナガバチはスズメバチの中では比較的大人しいとはいえ、人を攻撃することもあるため安易に近づき採集するのは危険です。
また生の蜂の子は食中毒のリスクがあるため、必ず加熱して食べましょう。

アシナガバチの蜂の子は普段からおやつ用によく採集し、食べている人から譲ってもらい、調理方法などよく確認してから味を確かめてみましょう。